ギリシャ問題で揺れるユーロ(EUR)
ここのところ、ギリシャが発端となってユーロが揺れています。ギリシャは、いったい全体どうなってしまったのでしょうか?
ことの発端は昨年10月にギリシャ共和国のパパンドレウ新政権が2009年の財政赤字が従来予想3.7%の3倍以上のGDP比12.7%に達すると修正見通しを発表したことです。実際は12.7%にまで上昇してしまったようです。そしてこの大幅な上方修正を巡って前政権で財政の粉飾があったのではという疑惑が噴出し、欧州委員会が調査に乗り出すという展開になりました。
1月12日の欧州委員会はその結果を発表しましたが、その中で、『ギリシャの統計データには「深刻な不備」があるため、EU加盟国で最大規模であるギリシャの財政赤字の正確性には疑問がある』と指摘しました。実際、ゴールドマン・サックスをカウンターパーティに通貨スワップを使って財政赤字を小さく見せていたと言うドイツのスピーゲル誌の報道もありました。
http://mpse.jp/tkymail/c.p?12c2aWm19X7
ギリシャ政府は1月15日にギリシャのSGP(Hellenic Stability and Growth Programme)のアップデートをリリースし、財政赤字の削減計画を打ち出し
ました。
それによると2010年8.7%、2011年5.6%、2012年2.8%というように財政赤字を減らす方針で、2012年にはEU基準のGDP比3%以内を達成できるとしています。欧州委員会は大枠ではこのギリシャの計画を歓迎しつつも、具体的な施策、例えば公務員給与の削減や徴税の強化等、を迅速に決定し実施すること、および財政状況改善の進捗状況等の定期的な報告を求めています。
また、ギリシャから飛び火するかたちで、懸念が、スペイン・ポルトガル・アイルランド・イタリアにも広がっています。一般的にはポルトガル・イタリア・ギリシャ・スペインの頭文字を取ってPIGSと呼ばれていますが、アイルランドのほうがイタリアより深刻なのでPIGSのIはイタリアではなくアイルランド(Ireland)という主張もされています。コチラのほうがもっともだと思いますが。
いずれにせよこれらの国の財政はかなり圧迫されていてEUの財政健全化の基準を逸脱してしまっているようです。もしも、通貨が別々であれば為替
調整が働くことになり、それを通じて財政・経済が変動し解決に向かいます。
しかし、ユーロは単一通貨です。EUがひとつの国としてEU財務省および徴税権を持つわけではありません。EU財務省があればこれらの国の問題は
EUという国の中の地方の問題として処理されます。(例えば日本国内にも夕張のような自治体はありますが為替市場は全く気にしていませんし、アメリカでもカリフォルニアの財政悪化が大いに話題にはなっていますが、そのことが為替相場に影響している感じはしません。)
ところが、EUにはそのような組織も権限も無いので、各国が自らの力で解決しなければなりません。そしてその解決の道筋が一筋縄で行きそうもありません。その懸念が通貨のユーロに跳ね返っているのだと思われます。ユーロという壮大な実験はまだ途中で、これほどの逆境は初めてのことだと思われますが何とか乗り越えてもらいたいものです。
EUがこの問題に適切に対応出来ると考えるならば、長期的には通貨としてのユーロは買いでしょう。短期的にはまだまだ紆余曲折がありますから大いに気をつけないといけないと思いますが・・・。
OECDの予測では2011年でも財政赤字は10%前後、ギリシャの復活はやはり厳しそうですが・・・
http://mpse.jp/tkymail/c.p?22c2aWm19X7
ちなみに話に出た残りの4カ国とその他の主要国財政収支の動向は
OECDの予測によれば以下のとおり。
http://mpse.jp/tkymail/c.p?32c2aWm19X7
(ポルトガル・アイルランド・スペイン・イタリア)
http://mpse.jp/tkymail/c.p?42c2aWm19X7
(ドイツ・フランス・スイス・イギリス)
http://mpse.jp/tkymail/c.p?52c2aWm19X7
(日本・米国・オーストラリア・カナダ)
これを見るとあまりギリシャばかり責めてもいられないようです。財政赤字がOECD totalの数字を下回っているのはイタリア、ドイツの他はオーストラリア、スイス、カナダくらい。PIGS以外の国々でも主要国のかなりの部分は平均値以上の財政赤字を抱えている、若しくは抱えるであろうという状況ですね。この状況でユーロばかり安くなるのは納得し難いですね。
買い場が近づくユーロ円(EURJPY)為替予想
ユーロ円(EURJPY)が121円の底値から反発している。ギリシャ問題にゆれるユーロ圏であるが、ユーロ不信も一巡した感がある。すでにギリシャをはじめ、スペイン、ポルトガルの債務も明るみにでてきており、国際通貨機構も同国に特別融資などの対応をすることを表明している。4、5月にギリシャ国債の償還日がくると言われており、為替相場はそのリスクをすでに織り込んできているようである。ユーロ円(EURJPY)の120円割れも予想されていたが121円前半で反発しており、しっかりとしたサポートラインが形成されている。大きな下落リスクも弱まり、125円を目指す向きも予想できるであろう。もともと米国の景気低迷も長引く事が予想されるため、ここはユーロ円の押し目をしっかりと拾っていきたいところだ。

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